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データドリブンサッカーの盛り上がり

サッカーは長らく「技術」と「感覚」が重要視されるスポーツとして発展してきました。しかし、近年では「データ分析」という新たな要素が加わり、試合の勝敗や選手育成において大きな役割を果たすようになっています。これは、スポーツ全般で起こっている変革の一部であり、特に欧州のトップクラブを中心にデータ活用が広がっています。

例えば、三苫薫選手が活躍しているブライトンでのデータスカウティングでは、

コンサルティング会社であるスターリザードのデータを活用し、ゴール数やシュート数、パス成功率、スプリント数といった一般的なプレーデータに加え、独自の統計データや分析を取り入れたアルゴリズムを活用しています。

この独自のアルゴリズムによって、世界中の選手の中から注目すべき才能を発掘しています。

データドリブンサッカーとは、勘と経験によるものではなく、データ分析とテクノロジーを活用して、選手の能力向上やスカウティングから戦術分析、ファンエンゲージメントまで、ゲームのあらゆる側面を改善することです。大量のデータを収集、分析、解釈して洞察を得て、情報に基づいた意思決定を行うことになります。

データドリブンサッカーは、戦術の精度を向上させ、選手の能力を最大限に引き出し、サッカーそのものの見方やプレースタイルに革新をもたらしています。

なぜサッカーにおいてデータ分析が重要なのか?

サッカーは「結果」がすべてのスポーツです。

しかし、その結果を左右する要因は非常に複雑で、選手一人ひとりの動き、チーム全体の連携、相手チームの戦術など、膨大な要素が絡み合っています。

従来、これらの要素は主に経験や直感に基づいて判断されてきましたが、データ分析の導入により、試合や選手のパフォーマンスを数値化し、具体的な根拠をもって改善策を講じることが可能になりました。

データ分析が重要視される理由には、以下の点が挙げられます:

  1. 見えない要素を「可視化」する
    データ分析により、選手の動きやプレーの効果を数値で評価できるようになります。 例えば、ゴールに直結しないスペース作りや守備時のカバーリングの質といった、従来のスタッツでは見えにくかったプレーも評価の対象となります。
  2. 科学的根拠に基づく意思決定
    データは監督やコーチが戦術を選択する際の裏付けとなります。例えば、対戦相手の守備の弱点をデータから特定し、そこを集中的に攻める戦略を練るといったことが可能になります。
  3. 選手個別の成長を促進
    選手ごとの特性や改善ポイントをデータから分析し、それに基づいてトレーニングをカスタマイズすることで、個々のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
  4. 試合後の振り返りをより効果的に
    試合後の映像分析に加え、データを活用することで、何が機能し、何が改善すべき点だったのかを具体的に検証できます。これにより、次戦に向けた準備が効率的になります。

欧州におけるデータ分析の最前線:戦術分析、選手育成、そして未来への投資

欧州のトップクラブでは、データ分析が既にサッカー運営の根幹をなしています。

例えば、リヴァプールFCやマンチェスター・シティなどといったクラブは、データサイエンスチームを内部に擁し、最先端の技術を駆使しています。

リヴァプールやマンチェスターシティなどは、「Expected Goals (xG)」と呼ばれる指標を導入し、得点期待値に基づいた戦術分析を行っています。この手法により、単なる得点数だけでなく、シュートの質やチームの攻撃効率を評価できるようになりました。

また、選手の動きのデータをもとに、試合中にどのエリアを攻略すべきかをリアルタイムで修正する「ポジショナルプレー」などにも力を入れています。

さらに、スカウト活動にもデータは活用されています。例えば、FCミッティラン(デンマーク)はデータ分析を活用して低コストで優れた選手を発掘し、チームの成功に繋げています。このように、欧州ではデータを基にした意思決定がクラブの成績を大きく左右する時代となっています。

データドリブンを実現するツール

1. 健康管理ツール 

選手の怪我予防や健康に特化したデータ管理と可視化ツールであり、

特にRPE(主観的運動強度)やACWR(急性-慢性ワークロード比)は役に立ちます。

  • 活用方法:
    • トレーニングや試合後に選手が感じる運動強度(RPE)を記録し、負荷の傾向を追跡。
    • ACWRを計算し、過剰な負荷や不足を特定して適切な調整を行う。
    • 過去のデータを基に、選手ごとの負荷許容範囲をモニタリング。

2. GPSデバイス 

ウェアラブルデバイスを用いた選手のパフォーマンス追跡ツールで、フィットネス管理と怪我予防に役立っています。

  • 活用方法:
    • 移動距離、速度、加速・減速などのデータを収集し、選手の身体的負荷を把握。
    • データを基にトレーニング負荷を適切に調整し、過剰負荷や疲労蓄積を予防。

3. 映像分析ツール 

映像分析ツールであり、試合やトレーニング後の映像を選手やスタッフに共有することに役に立ちます。また、映像から収集されたデータを解析することにも効果的です。

  • 活用方法:
    • 試合やトレーニング後の映像やデータを選手やスタッフに共有
    • チーム戦術の改善ポイントを特定し、実践的な指導に活用。

4. 低酸素環境トレーニングシステム 

低酸素環境トレーニングを提供するシステムで、選手の体力向上やリカバリーに役に立ちます。

  • 活用方法:
    • 低酸素環境下でのトレーニングを行い、有酸素能力や持久力を強化。
    • 怪我予防や回復を目的としたリカバリープログラムを実施。
    • 個別のニーズに合わせたトレーニングプランを設計。

データドリブンの適用領域

スカウティングと採用: さまざまなリーグや大会でのパフォーマンスデータを収集して分析することで、有望な選手を特定するのに役立ちます。これにより、クラブは有力な選手、クラブにあった選手をより多くの情報に基づいて意思決定を行うことができます。

戦術分析: 選手の動き、パス、シュートに関するデータを分析することで、チーム戦術のパターンと傾向を明らかにすることができます。 このデータ分析の結果により、自チームと相手チーム両方の長所と短所を特定し、ゲーム戦略を最適化し、競争力を獲得することができます。

選手のパフォーマンス分析: ウェアラブルデバイスやビデオシステムにより、選手の速度、移動距離、その他の物理的パラメータに関するデータを収集できます。このデータを使用して、フィットネスレベルを評価し、改善が必要な領域を特定し、トレーニングプログラムをパーソナライズすることができます。

怪我の予防: パフォーマンス分析からも繋がりますが、フィットネスレベル等のデータ分析により、怪我の危険因子を特定し、怪我を予防するための戦略を立てるのに役立ちます。これにより、選手の健康状態が改善され、ピッチにより長く立つことができ、選手寿命の向上も可能です。

ファンエンゲージメント: ファンの好みや行動に関するデータを使用して、マーケティングキャンペーンをパーソナライズし、スタジアムでのエクスペリエンスを向上させ、全体的なファンエンゲージメントを強化することができます。

データドリブンでサッカーの未来を創る

データ分析の利点は、試合やトレーニングだけにとどまりません。

ファンに新たな視点を提供するという側面も重要です。例えば、試合中に取得されたデータを活用して、どの選手がチームの流れを作り出しているのか、どの場面が勝敗を分けたのかを明確にすることで、観戦の楽しみが広がります。

さらに、データ分析によって新たに注目される選手や戦術が出てくることで、サッカーの進化が促進されます。特に若手選手の育成では、個々の能力をデータから深く理解し、それを最大限に引き出す方法を考えることが可能になります。

FC徳島の挑戦

私たちFC徳島では、データドリブンサッカーをクラブ運営の柱と位置付けています。国内外の先端技術を積極的に取り入れ、選手やスタッフがデータを活用する文化を育てています。これにより、Jリーグ参入という短期的な目標だけでなく、日本サッカー界における新たなスタンダードを築くことを目指しています。

具体的には、選手の走行距離、パス成功率、シュート成功率などを分析するだけでなく、AIを活用した戦術シミュレーションや対戦相手のデータ分析にも力を入れていきます。これにより、試合での勝率を高めるだけでなく、選手個々の可能性を引き出す仕組みを作っていきます。

これからも私たちは、データの力を活用してサッカーの魅力を深掘りし、ファンの皆様に新しい視点と興奮をお届けしていきます。

日本サッカーの未来を共に創っていきましょう。